2009年1月4日日曜日

壮年期


                 厳しい門限監視係


 就職して1年も経つと、世の中に慣れてくるのか、子供達も帰りが遅くなる。

 パパさんを筆頭に長男、娘と3人の帰宅時間を時計とにらめっこしながら帰りを待っているママさんはイライラしてくる。マリオもその側で一緒に気をもんでいる。

 特にママさんもマリオも気になるのは娘である。
 昔気質のママさんは、女性がお酒を飲んで夜遅く帰ることなどは考えられない時代に育ったこともあり、娘に対して厳しい。

 ある日、珍しくパパさんが早めに帰ってきた。長男は仕事が忙しくて毎晩残業で遅い。 娘はOLだから、残業なんて滅多にないが、その日は遅く帰ってきた。

 ママさんに「お父さんから、しっかり言って頂戴」と言われていたパパさんは、娘に宣言した。

 「我が家の門限は11時だ」

 なぜ11時か判らないが、パパさんはその日のうちに帰れという意味だった。

 娘は「お父さんだって(門限が)11時じゃないでしょう」と反論したが、今度はママさんに叱られた。

 「あなたはお父さんと同じだと思っているの、冗談じゃないわ」

 娘は分が悪いと感じて即座に謝った。

 部屋に入って「(怒らないのは)マリちゃんだけだねー」と頭を撫でる。

 マリオも心配していたが、娘が帰ってきたことの方が嬉しくて、娘の手を軽く噛んだりペロペロなめてやる。
 門限は1ヶ月ぐらいしか守られなかった。



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