2008年12月15日月曜日

青年時代


                        又、眠くなってきたよ

―遊び相手―

子供たちが大きくなり、前のように相手をしてくれなくなった。

猫じゃらしもどこへいったか部屋には見当たらない。たまに娘と次男がひもで遊んでくれるが、チョイの間だけだ。

朝は子供たち三人とパパさんが学校や会社に出かけるまでママさんはてんやわんやだ。

マリオはキッチンの片隅に置かれた食事をマイペースで済ませる。

その後、居間のソファーに陣取って子供たちの出かけるのを見送る。子供たちは夫々、マリオに声を掛けたり頭をなでたりして出かけていく。

ママさんは、朝食の後片付けをして、一息ついてTVを見ている。

マリオも手持ち無沙汰の状態で、運動の欲求に駆られてくる。ママさんはTVに見入ってマリオの気持ちに気づく気配はない。

遊び催促のサインを出すため思案する。まずソファーから床に下りて大きなあくびと共に、思い切り背伸び屈伸運動をする。

ママさんは「マリちゃん、静かになったねー」と声を掛けるが相手をしてくれる気配はない。マリオは「ニヤー」と返事をして猫正座をする。

そのうち、ママさんがキッチンに立つ。歩くママさんの足にからみつく。

「アレ、マリちゃん、危ないよ」と言って、マリオの遊びモードのサインを理解してくれない。

そのあとテーブルに座ってお茶を飲んでいるママさんの周りを歩いたり、正座してママさんを見つめたりするが、マリオの気持ちに気がつかない。

仕方がないから、ソファーの横でバリバリ音を立てて爪とぎをする。

「マリちゃん、(ソファーが)ボロボロになるから止めなさい」とくる。

マリオは半ば諦めてテラス越しに外を眺める。時々、ママさんを見るが、TVに釘付け状態に変化はない。

しばらくしてから、再び背伸び屈伸運動をしてソファーに寝そべって、ママさんの様子を伺っているうちにまどろんでくる。