2009年4月22日水曜日

ペットロスの衝撃

ー喪失感ー

 大きな犬を飼うつもりが、猫になり、マリオという名前で十三年間家族同然に生活を共にしてきた。

 言い方を変えれば、マリオの死は人間ではないだけに存在感は大きかったといえる。

 次男に抱かれたマリオの遺体が獣医院から帰るタクシーの車内で、家族全員一言も口を聞かなかった。

 マリオが死んだという事実が重くのしかかり、壮大な喪失感が家族全員の心を支配していた。

 家に着いて、玄関を入ったところでママさんが始めて涙混じりの声で言った。

 「マリちゃん、おうちに帰ったよ」

 引っ越しの始末も中途で、マリオの仏壇づくりをする。

 近所に住んでいる祖父が花をもって来た。

 写真や血統書を飾り、線香・ローソクを備えて、パパさん、ママさん、次男が拝んだ。

 祖父も手を合わせた。マリオの冥福を祈る。

 育った家で、老後を悠々と過ごす筈だったマリオは静かに横たわっている。

 子供達とマリオが育った広い家が益々ガランとした空間に感じる。

 家族のシンボルだったマリオが死んだという事実だけが、家の中を支配していた。



               幼かった頃のマリオ


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