2009年4月5日日曜日

老年期




ー腎臓病ー

 マンションに引っ越した最初の夏になって、しょっちゅうマリオは水を飲む。おしっこも頻繁になった。喉が乾くというより調子が悪い。

 ママさんが異常に気がついて「マリちゃんどうしたの」と話しかけた。

 マリオもなぜ水を飲みたくなるのかよく判らない。ママさんは娘に相談した。

 「ちょっと、マリオがおかしいわよ」

 「次の土曜日に病院に連れて行こうかな」

 マリオも当年とって十一才である。人間に例えると老年期の入り口にある。飼い猫は人間と同じ生活をしていると、人間と同じような生活習慣病にかかるケースが多い。

 それに猫にとっては生活環境の変化が一番健康によくない。

 盛岡の家が快適だっただけに、仙台でのJRの社宅暮らしから現在のマンション生活と、猫族のマリオにとっては環境変化と生活悪化が激しすぎる。

 土曜日に娘の運転でママさんと獣医院に行った。

 獣医はママさんの説明を聞いて糖尿病か腎臓かどちらかと考えていた。検査の結果、案の定、腎臓の機能がやや低下していた。

 獣医は命にかかわるほどではないが、注意するに越したことはないと猫の腎臓病に良い食餌療法を勧めた。
ママさんは獣医院から、食餌療法用の缶詰をどっさり買った。

 家に帰ると、娘が缶詰を開けて「ウワー、まずそう」と言いながら「はい、マリちゃんお食べ」とマリオの前に置いた。



 マリオは匂いを嗅いだが、ベチャベチャした感じと薬っぽい匂いがしたため口をつけなかった。娘は食べさせるにはどうしたら良いか、作戦を考えた。



 まずい食事を改善するには、大好物の鰹節を掛けるのがマリオには効果がある。



病院の缶詰の餌にたっぷり鰹節をかけた。マリオは大好物の鰹節だけをきれいに食べて、餌には口をつけなかった。



 そんなことを繰り返しているうちに、少しずつであるが体重が減ってきた。



 一ケ月程過ぎて、獣医院に行くと体重が四キロ弱である。往時には六キロあった。獣医は「げきやせですね」と言った。



 獣医院から戻って、ママさんと娘は方針転換した。食事療法を諦めて、マリオが好きな市販の猫用高級食に戻した。


     飛んでゆく鳥を見るしかやることがないんだよ!

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