2008年3月16日日曜日

幼い頃



ーおねだりー


 育ち盛りのマリオにとって、餌を貰うのが楽しみだった。娘が居る時は優先的に食事の準備をしてくれたが、ママさんは「猫より人間が先」という哲学があって後回しにされた。


 プライドが先行する猫族としては、やってはならない事であるが背に腹は変えられないとばかり、おねだり作戦を実行する事にした。

 夕飯の支度に忙しそうなキッチンのママさんの足元に回りついた。


 「マリ、邪魔よ」と素っ気ない。諦めようとしたが、空腹が治まる訳ではない。




 次なる手は実力行使である。
 爪を立ててママさんの足にまつわる。


 「あれ、マリちゃん、どうしたの」と、それでもマリオの訴えを理解する気配がない。


 さらなる作戦は声で訴える。
 「ニャーオ!」(餌をちょうだい!)


 「何なのよ、アッ、お腹が空いているの?」
 

「ニャーオ」(そうだよ) ようやく、マリオの「プライドかなぐり作戦」は成功した。



 その後も人間優先のママさん哲学は生きていたが、その度実力行使した。


 何度か繰り返している内に、ママさんもおさんどんの邪魔になるため、方針を変更してくれた。


 マリオがプライドを捨てて媚びたのは、これ以外あまり記憶がない。



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