パパさんが論文らしきものを一生懸命書いている。
娘がそれをワープロで清書するお手伝いをしている。
どうやら、地元の大学院の社会人募集に応募する気らしい。
再就職した会社ではルーチンワーク(決まった仕事)があるわけでなく、JRでバリバリやってきたパパさんには日々が物足りない。
JR時代に従事した「プロジェクト・マネジメント」を経営学の論文にまとめるという目的らしい。
春先に、技術士の経営工学の国家試験に合格し、その上会社の仕事が暇すぎて当面の目標がないのも原因している。
ママさんも子供達も冗談だろうと思っていたが、パパさんは本気だった。
面接試験から帰ってきてママさんに話していた。
「(受験者の中に)俺より年配の人もいたよ」
四月から、56才の大学院生になった。
「教授がほとんど年下でやりにくいよ」と言いながら、結構楽しそうだ。
毎日行くわけでなく、選んだ講座のある時間だけ行けば良いらしくて、閑職同然のパパさんとしては全然負担にならない。
隔週の土曜日に特別研究の講座もあるが、この日は娘に車で送られていく。
大学院は学部からの進学組や留学生の若い院生が多く、時々留学生に教授と間違えられるらしい。
マリオはその時のパパさんの様子を想像して、楽しくなった。
オヤジ院生のパパさんも慣れてくると、学生気分になるのか、今日はゼミの連中と飲んできたとか教授と国分町でカラオケをしたとか結構楽しそうである。
「トルコから来た○○ちゃん可愛いぞ」と言ってママさんのひんしゅくを買っている。
研究室では院生に親分と呼ばれて慕われているらしいが、ママさんには「真面目に勉強しなくちゃ駄目よ」と言われていた。
東北大学
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